安土桃山時代 in The 日本史
〜安土桃山時代と日本史の英雄達〜

伊達政宗といえば多くの人が「独眼竜」と答えるほど未知でスマートなイメージを抱きます。確かに大河ドラマ等のメディアを通じて現在の我々は作り上げられた正宗を見ている気がします。この本は多くの資料の分析とそれに裏付けられた著者の独自の推理により、まるで目の前に生きた正宗を見ているよな気になります。そしてその正宗の行動は我々がイメージしているよりも泥臭く如才ないものです。私的にはもっとも正反対に位置していると思っていた徳川家康とどことなくイメージが重なる部分が多かったのは新しい発見でした。徳川家康と同じように天下を望み、タイミング的に果たせなかった正宗の一生がまるで手に取るようにわかります。

一言でいえば、これは政宗の研究本である。しかし、研究本といっても、内容はすごく分かりやすい。政宗について知りたいなら、ぜひこの本をオススメする。
政宗の生涯の中で、幾つかの事柄を挙げると、父輝宗の殺害事件とか、葛西・大崎一揆と政宗の関わりとか、慶長遣欧使節のことなどがあるが、この本ではその時の政宗の心情やその事柄の真意などを、参考文献を多々持ち出して冷静に判断している点がおいしい。また、その参考文献の存在を知る機会にもなったので有り難いと思った。